経営力を高める為の営業再設計コラム ~ 明日の営業力を高める気づきをめざして ~

2015.08.01  第23回 会社のM&Aで営業部が意識すべき大切な2つのこと

━【 今回のテーマ 】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  会社のM&Aで営業部が意識すべき大切な2つのこと

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先日、中堅企業A社の営業部長さんとお話をする機会がありました。

A社はこの4月にB社に吸収合併されました。従業員はA社の
方が多いのですが、合併時の資本構成から営業方針はB社を
軸に進めていくようです。

A社は製造業で、商品に付加価値をつける営業スタイル
B社は卸売業で、とにかく汗と根性!という営業スタイル

この営業部長さんも直属上司はB社からの役員、部下の半数もB社から
という事で、正直不安を隠せない様子でした。

営業部長曰く
「大森さん、合併は時代の流れとはいえこれだけ文化の違う会社が
一緒になると、本当にやりづらいです。」

大森言
「心中、お察っし申しあげます。(真摯と敬意をもって)」

営業部長曰く
「大森さんは、過去にこのようなケースに遭遇した経験はありますか?」

大森言
「はい、たぶん貴社が4例めだと思います。
 過去には、地域の中小企業が後継者不在の為に社員を含めて
 買ってくれとか、事業拡大を早期に実現するにはノウハウを
 買収した方が早いということで吸収合併したとか、理由は様々ですが
 ご支援させていただきました。」

営業部長曰く
「ちょうど今、市場や顧客の見直しを行っており、だれにどこを担当して
 もらうようにするのが一番いいのかを考えています。ただ、
 B社の営業マンは、従来の汗と根性の営業スタイルを変える意思が
 なく、非常に困っています。」

大森言
「部長、なぜ人ありきで考えるのですか?
 順番が違うような気がするのですが…
 そんな進め方ですと、せっかく合併した意味がなくなるのでは
 ありませんか?」

営業部長曰く
「順番が違う? それはどういう意味ですか?」

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□◆ 営業マンありきで仕事をあてはめない
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企業の吸収合併があった際、営業部に限りますと2つの視点から
設計しなおす必要があります。

ひとつは、「人ありき」で考えるのではなく、営業部が目標とする姿ありき
からスタート、考えるべきです。

M&Aの理由が何であれ、せっかく新たな組織をつくるチャンスが到来した
のですから、ここは前向きに考えていかなければ意味がありません。

新しい営業部の職務や職能に対して、今までの組織の延長線ではない
「尺度」を創る必要があります。

その理由は、人からはいりますと、どうしてもその人の能力や性格を
管理者の主観・色眼鏡で判断してしまう傾向になってしまうからです

ここは人ありきではなく、まず組織としてどんな職務や職能が
求められるのか!
ここから基準となる仕事の内容や求められる能力を考えていかないと
営業部は変わることはできません。

職務とか職能と記しますと、人事制度のイメージを
がいるかもしれませんが、それは違います。

あくまでも、営業部内で活用する「尺度」です。

例えば、私が推進していますコンサルティング営業で求められる
「センス」や「スキル」ガイドラインは、そのひとつと
考えください。

組織として、目標イメージ(市場や期待する1商談毎の規模)から必要とする
能力を図る尺度を作成し、現有営業マンにあてはめていきます。

 

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□◆ 組織として「営業マン」がめざす軸を決める  
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2つめは組織として営業マンがめざす軸の見直しです。

軸の内容は個々の企業によって異なってきますが、簡単な例で
説明しますと「量」と「質」です。

まず「量」について説明をします。

上司が新人の営業マンに、上司が1日100件の訪問をしろ!と
檄を飛ばすが、その典型的な例です。

上司は新入社員は訪問内容の質では期待できないので、
量で勝負するという考えからきています。

1日100件、10日で1,000件訪問、もし本気で取り組んでいれば
営業マンにはその中から何か得るものがあるはずです。

一方「質」を問う例として、しっかりとした戦略・戦術・計画を立案し
効率的な営業活動を通じ、大きな商談をめざす考えがあります。

大きな商談をめざすなら、会社の体力や営業マンがもっている得意技を
棚卸しながら、最小限の労力で最大限の成果(売上)をあげる効率的な
活動を常に追求しなければいけません。

今いる営業マンに、量を軸とした営業活動を求めるのか?質を軸とした
営業活動を求めるのか?営業部全体から見た全体最適が求められます。

これを支援するのが、営業部の全体最適を俯瞰するグラフです。

 

今回は、営業マンがめざす軸の例として「量」と「質」で説明しましたが
営業マンが組織の中でどの位置にいるのかを理解していただくグラフ(例)を
大森著書「法人営業で成功するにはコンサルティング力を磨け」に
その例を明示していますので、参考にしてください。

営業マンに求める必要な軸を基本にし、1枚のグラフで表現し
新組織のイメージをまとめあげていくのです。

 

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□◆ 営業部としての新たな評価尺度を創る 
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営業部長曰く
「大森さん なんとなくわかってきました。どうしても目先には部下
 や上司の顔が先に浮かんでしまうものですので、」

大森言
「そりゃ当然ですよ。部長として預かった部下をこれからどの様に伸ばすか
 ということを考えるのは大切です。

 でも、今はオールリセットの時です。

 一度原点に戻り、人ありきではなく、できる限りゼロベースで
 考え、これからめざす組織のイメージを再設計してください。
 でないと、組織が一緒になった意味を見出せません。」

 

組織は人なり、もちろん営業部もその例外ではありません。

しかし人に仕事や目標を与えるのではなく、まず組織の方向性の軸を明確に
しなければ、営業マン主体の個人商店の域を脱することはありません。

マネジメントの父と言われたPFドラッガーさんは

「あらゆる組織が活動の評価尺度を必要とする」

と言っています。

再設計や修正なしに、長期的に成果をあげる活動はありえません。

貴社には、組織規模に合致した営業部の評価尺度ができていますか

最後までお読みいただきありがとうございました。

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